阿漕(あこぎ)
もとは三重県津市の地名。伊勢の神宮に供える魚をとるための禁漁地であったのに、ある漁夫がたびたび密漁を行ってとらえられたという伝説がある。
そこから転じて、たび重なることや、どこまでもむさぼり、しつこくずうずうしいさまをいう語になった。
(美しい日本語の辞典)
▷ まっぷる 伊勢志摩 '21
あこぎ【阿漕】
地名「阿漕ヶ浦」の略。古今六帖(3)「逢ふことを 阿漕の島に引く鯛の たびかさならば 人も知りなむ」の歌による。
1. たびかさなること。
源平盛衰記(8)
「重ねて聞し召す事の有ければこそ阿漕とは仰せけめ」
2. 転じて、際限なくむさぼること。また、あつかましいさま。ひどく扱うさま。
狂言、比丘貞(びくさだ)
「阿漕やの阿漕やの今のさへ漸と舞うた、もう許してくれさしめ」
「阿漕な仕打ち」
3. 能
伊勢国阿漕ヶ浦の漁夫が密漁して海に沈められ、地獄で苦しむさまを描く。
阿漕ヶ浦 / 阿漕の平次 / 阿漕焼 / 阿漕が浦に引く網
(広辞苑)
あこぎ【阿漕】
〘名・形動〙
どこまでも強欲(ごうよく)無慈悲で、あくどいさま。
「阿漕なまねをする」
「阿漕な商売」
■ 語源
禁猟区の阿漕ヶ浦(三重県津市の海岸)でしばしば密漁をして捕らえられたという漁夫の伝説からという。そこからたび重なる意が生じ、さらに際限なくむさぼる意に転じた。
(明鏡国語辞典)
あこぎ【阿漕】
◆ あこぎな
〔図々しい〕 shameless, brazen
〔欲張りな〕 insariable, greedy
〔無慈悲な〕 heratless, ruthless
〔あくどい〕 vicious, wicked
・そのサラ金業者はあこぎだ
That loan shark is ruthless.
・あんまりあこぎな真似(まね)をするなよ
Don't be so mean.
(プログレッシブ和英中辞典)
あこぎ(な)【阿漕(な)】
・あこぎなまねをする
act cruelly [heartlessly]
do a ruthless thing
・あこぎな商売
wicked business
(ジーニアス和英辞典)
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