〘名〙
1. (「はら」はひろびろとした平らな所をさす)広く大きな空。
*万葉 (8C後) 一五・三六六二
「安麻能波良(アマノハラ) ふりさけ見れば 夜そふけにける よしゑやし 一人寝(ぬ)る夜は 明(あ)けば明けぬとも」
*古今 (905-914) 羇旅・四〇六
「あまの原 ふりさけみれば かすがなる みかさの山に いでし月かも 〈阿倍仲麿〉」
・羇旅:
きりょ
2. 天つ神が統治する天上界。高天原。
*書紀 (720) 神代上 (水戸本訓)
「弟(なせのみこと)来ませる所以(ゆえ)は是れ善き意に非(あら)じ。必ず当に我が天原(アマノはら)を奪(うば)はむとならむ」
[枕] (富士山が天に高くそびえ立っているところから) 「富士」にかかる。また、「空」の枕詞としても用いる。
*万葉 (8C後) 一四・三三五五
「安麻乃波良(アマノハラ) 富士の柴山 木の暗(くれ)の 時移(ゆつ)りなば 逢はずかもあらむ」
(精選版 日本国語大辞典)
▷ 落語で読む古事記 はじまりは高天原
あまの-はら【天の原】
1. おおぞら。
万葉集(2)
「天の原 振り放(さ)け見れば」
2. 日本神話の天上界。高天原(たかまのはら)。
古事記(上)
「吾が隠(こも)りますによりて天の原おのづから闇(くら)く」
(広辞苑)
あまのはら【天の原】
the sky; the heavens.
(新和英大辞典)
あまのはらふりさけみれば〈名歌名句〉
《和歌》 百人一首
【天(あま)の原(はら) ふりさけ見れば 春日(かすが)なる 三笠(みかさ)の山に 出(い)でし月かも】
作者: 阿倍仲麻呂
出典: 古今集・九・羇旅・四〇六
訳: 大空を遠くふり仰いでみると、月がのぼっているが、それは、かつて故国の春日にある三笠山にのぼった、あの月と同じ月であるなあ。
(古語林 古典文学辞典/名歌名句辞典)