あやか・る【肖】
〘自ラ五(四)〙
1. 揺れ動いて変化する。動揺する。変化する。
*拾遺 (1057-07頃か) 雑恋・一二五一
「風はやみ 峰のくず葉の ともすれば あやかりやすき 人の心か 〈よみ人しらず〉」
*海人刈藻物語 (1271頃) 二
「女御殿はとくまゐらせ給へとあれど、人々は『あやかりやすき御さまを、今少し見奉り給へ』と」
・海人刈藻:
あまのかるも
2. 感化されて、同様な状態になる。似る。多くは、しあわせな人に似て、自分もしあわせになるなど良い状態についていう。
*八幡愚童訓 (甲) (1308-18頃) 上
「御椀に鞆を書て御弓を引給しに肖(アヤカ)て、皇子の御椀に鞆の形あり」
・八幡愚童訓:
はちまんぐどうくん
・鞆:
とも
*虎明本狂言・財宝 (室町末-近世初)
「お年にも、御くゎほうにもあやかるように、三人の者共に、名を付て下されひ」
・虎明本:
とらあきらぼん
*文明開化 (1873-74) 〈加藤祐一〉 二
「我がなした事でもないに、たたりを受る事などがある、夫は俗にあやかるといふ様な事で」
3. (疫病が)流行する。
*多聞院日記-弘治二年 (1556) 正月一三日
「目赤はいかにもふさきて養生すへし。人にうつる物也。あやかるもの也」
・多聞院日記:
たもんいんにっき
・弘治:
こうじ
(精選版 日本国語大辞典)
あやか・る
(自五)
理想的状態にある人と何らかのかかわりを持って、自分もそうなりたいと思う。
(新明解国語辞典)
▷ 影響力の正体 - 説得のカラクリを心理学があばく
あやかる【肖る】
have similar good luck; share sb's good luck
・父にあやかって息子の名を太郎とつけた。
I named my son Taro 「for [after] my father.
・私もキミにあやかりたいね。
I wish I were as lucky as you.
If only I had your luck!
How I envy your luck!
・先生にあやかって字がうまくなりたい。
I want to be as good at 「calligraphy [penmanship] as my teacher (is).
・サッカーブームにあやかろうとこの町の菓子屋がサッカーボールの形のケーキを売り出した。
Intending to benefit from the soccer boom, confectioneries in this town started selling caked made in the shape of soccer balls.
・町はオリンピックのあやかり商品であふれていた。
The town was flooded with Olympic-related goods.
(新和英大辞典)
あやかる
・私もあなたの幸運にあやかりたい
I wish some of your good luck would 「come to [rub off on] me.
I wish I had some of your good luck.
・祖父にあやかって息子を太郎と名付けた
We named our son Taro after my grandfather.
(ジーニアス和英辞典)
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