〘名〙
1. 綾織物の織り目。また、模様。あや。
*朝光集 (995頃)
「おぼつかな 錦もみえぬ 闇の夜に 何のあやめを おるにかあるらん」
・朝光集:
あさてるしゅう
2. 視覚などによって識別すべき模様や物のかたち。物の区別。あいろ。「あやめも分かぬ」などと、下に打消の意の語を伴う場合が多い。
*宇津保 (970-999頃) 楼上下
「あがほとけ、なほ見せ給へ。〈略〉まだあやめも見えざりしをだに」
3. 物事の論理的な筋道。また、物事を順序立てて考えること。条理。分別。「あやめも知らず」などと下に打消の意の語を伴うことが多い。
*源氏 (1001-14頃) 箒木
「なにのあやめも思ひしづめられぬに」
・箒木:
ははきぎ
4. ハモのすり身を、豆腐と一緒に田楽にして、皿に盛り、葛餡(くずあん)をかけた料理。
[補注]
和歌では「菖蒲(あやめ)」にかけて用いることが多い。
(精選版 日本国語大辞典)
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あや-め【文目】
1. 模様。色合い。
2. 物のすじ。条理。区別。
源氏物語(夕顔)
「もののあやめ見給へ分くべき人も侍らぬわたりなれど」。
古今和歌集(恋)
「あやめも知らぬ恋もするかな」
(広辞苑)
あやめ【文目】
〔模様〕
a pattern; a design; a figure
〔物事のすじ道〕
a stripe; stripes
〔区別・けじめ〕
a distinction
◆ 文目も分かぬ
〔物の形がわからないほど暗い〕
pitch dark; as black as pitch; so dark (that) you can't see your hand in front of your face
〔思慮分別がない〕
uncomprehending; benighted
・文目も知らぬ恋
(a) blind love
(新和英大辞典)