天雲(あまぐも)
(古くは「あまくも」)空の雲。
万葉集〔8C後〕二〇・四二九六
「安麻久母(アマクモ)に 雁そ鳴くなる 高円の 萩の下葉は 黄葉(もみち)あへむかも〈中臣清麻呂〉」
(補注)「天雲の」は、枕詞。
(1)雲が、ゆくえ定めず空を漂うところから、「たどきも知らず」「たゆたふ」「ゆくらゆくら」「浮く」などにかかる。
(2)雲が、空のはるか遠いところにあるというところから、「奥処(おくか)も知らず」「はるか」「上(うわ)」などにかかる。
(3)雲が、ちぎれて離れ離れになるところから、「別れ」「外(よそ)」などにかかる。
(4)雲が、空を飛んで去ってしまうところから、「行く」「晴る」にかかり、飛び去っても再び戻って来るように見えるところから、「行き還(かえ)り」などにかかる。
(美しい日本語の辞典)
▷ 雲のカタログ 空がわかる全種分類図鑑
あま-ぐも 【天雲】
(古くは清音か) 天の雲。
万葉集 (3)
「天雲の雷 (いかずち) の上に」
あまぐも-の 【天雲の」
〘枕〙
「たゆたふ」 「行く」 「別る」 「よそ」 「おくかも知らず」 などにかかる。
(広辞苑)
あま-ぐも【天雲】(名)
〔上代は「あまくも」〕空にある雲。雲。
[万葉]10・2231
「天雲はれて月夜(つくよ)さやけし」
[訳]
空にある雲が晴れて月の光が明るく澄んでいる。
(全訳古語辞典)
人気の投稿(全期間)
-
「なる」 の改まった言い方。 「あい」 は接頭語。 「いかが 相成り ましょうか」 「五万円に 相成り ます」 「いたくお世話に 相成り ました」 など、改まった場での物言いとなる。 (美しい日本語の辞典) ▷ 美しい日本語の辞典 「な...
-
あたりきしゃりきくるまひき 「あたりまえ(当前)」をしゃれていう。近世以後、職人などが用いるぞんざいな語。「しゃりき」は「車力」、すなわち荷車ひきの意か。「りき」の音を繰り返して語呂(ごろ)をよくするために添えた語。 「あたりき、しゃりき、けつの穴ばりき」とも、「けつの穴...
-
あしらう 「あしえらう」の変化した語。応対すること。 現在では、「冷たくあしらう」「鼻であしらう」などの言い方で、いいかげんに他を待遇するの意を表すことが多い。 また、景物、料理、装飾などで、物を取り合わせる、配合する意を表す。 多情多恨〔1896〕〈尾崎紅葉〉後...
-
あこがれる もとは「あくがる」で、本来いるべき場所を離れてさまようことをいった。 転じて、心が対象にひかれてさまよい出て行くような感じ、すなわち、何かに心がひかれて思いこがれることをいうようになった。 「 あこがれ の的」といえば、理想として思いを寄せる対象のこと。 ...
-
徒桜(あだざくら) はかなく散る桜。また、はかないもののたとえ。 親鸞聖人の歌とされる「あすありと 思ふ心の あだ桜(ざくら) 夜は嵐の 吹かぬものかは」が有名。 桜はあだな(かりそめではかない)もので今日咲いても明日はもう散っているかもしれない、という発想は古く、...